カリフォルニア工科大学の研究者たちは、それぞれが複数の量子ビットを含む2つのノードを持つ量子ネットワークを実証し、量子通信において重要な成果を上げました。研究チームは、イットリウムオルトバナデート(YVO4)結晶に埋め込まれたイッテルビウム原子を使用して、並列の量子情報伝送を可能にする新しい量子もつれ多重化プロトコルを開発しました。このアプローチにより、量子ビットの逐次的な準備と光子伝送のボトルネックを克服し、通信速度を大幅に向上させました。 このシステムは、イッテルビウム原子の特殊な光学特性を活用しており、これらの原子は自身の量子状態と量子もつれした光子を放出します。研究者たちは、特定の原子を標的とするレーザーを微調整し、量子フィードフォワード制御プロトコルを適用することで、光学周波数の違いがあるにもかかわらず、原子対の間で量子もつれ状態の生成に成功しました。ネットワークの各ノードには約20個の量子ビットが含まれており、ノードあたり数百個まで拡張できる可能性があります。 この研究は、セキュアな通信や分散量子コンピューティングへの応用が可能な、高性能ネットワークを実現するためのスケーラブルな量子通信システムの基礎を築くものです。空軍科学研究局と全米科学財団(NSF)の支援を受けたこの研究は、ネイチャー誌に掲載されました。 2025年2月27日