分散アーキテクチャを採用した国産イオントラップ型量子コンピュータの開発に向けて、Qubitcoreがプレシードラウンドで資金調達を実施

キュービットコア株式会社(横浜市)は、OIST Lifetime Venturesファンド(無限責任組合員:Lifetime Ventures LLC)をリード投資家としたプレシードラウンドを完了しました。キュービットコアは沖縄科学技術大学院大学(OIST)からのスピンアウト企業で、2025年6月1日付けでOISTの実験量子情報物理学ユニットから基礎的な知的財産権の独占的ライセンス契約を締結しています。同社の中核的使命は、分散型量子コンピューティングシステムを実現し、耐故障性ユニバーサル量子コンピュータ(FTQC)の実現を目指すことです。 キュービットコアの独自技術は、イオントラップ技術と集積光共振器、光子相互接続ネットワークを組み合わせた分散型量子コンピューティングアーキテクチャです。このアーキテクチャは、複数のモジュール間の高速・高忠実度な遠隔エンタングルメントを可能にすることで、従来の量子プロセッシングユニット(QPU)に内在する拡張性の限界を克服するよう設計されています。このアプローチは、従来のイオントラップ方式では困難だった大規模な運用の実現を目指し、実用的なFTQCの構築に向けて前進するものです。 キュービットコアは分散型量子コンピューティングシステムのロードマップを次のように示しています:2028年に量子誤り訂正実験用の第一世代テストベッドシステム、2029年にモジュール間の光子相互接続を実証し1000量子ビット級システムへの将来的な拡張可能性を示唆する第二世代プロトタイプ、そして2030年までに商用グレードの展開を目指します。同社の技術は、OISTの高橋博紀ユニットの研究に基づいており、耐故障性ユニバーサル量子コンピュータのための日本のムーンショット型研究開発事業(目標6)にも貢献しています。 プレシード資金は、キュービットコアの初期段階のハードウェアシステム開発を加速させます。これには、実験装置の調達、光共振器を統合したイオントラップモジュールのプロトタイプ開発、研究人材の採用、分散型量子コンピューティングのための光リンクの実験的検証、高効率な量子誤り訂正の実装に向けた研究が含まれます。また、将来の量子コンピューティングサービスのための制御プラットフォームの初期段階の開発も開始する予定であり、これは株式による資金調達と非希薄化型の公的助成金を組み合わせる取り組みの一環です。 2025年7月16日