イスラエルとアメリカは2億ドルの量子共同基金の設立を計画している。国家安全保障研究所(INSS)所長のタミル・ハイマン少将(予備役)の提案により、2026年から2030年にかけて、イスラエルとアメリカがそれぞれ1億ドルを投資して量子プロジェクトの共同研究を支援する。この取り組みには、アラブ首長国連邦(UAE)とサウジアラビアの参加も検討されている。 提案された基金は、既存のイスラエル・米国共同研究基金をモデルとしており、イスラエルと米国の民間量子企業による共同商業ベンチャーを支援することを目的としている。UAEとサウジアラビアの参加は、大規模な量子・AI研究を支援できるエネルギーインフラを有することが注目されている。共同プロジェクトの資金提供の例として、光量子コンピュータを開発するイスラエルのQuantum Sourceと、光量子コンピュータを構築する米国のPsiQuantumの協力が挙げられている。このプロジェクトのオフィスは、テルアビブとバージニア州アーリントン郡に設置が提案されており、2022年米国チップス法の予算へのアクセスも可能とされている。 この基金の主要な目的は、特に量子技術における中国のグローバルな影響力に対処し制限すること、そしてイスラエルの量子技術とAI技術の能力を活用して米国のグローバルな影響力を高めることである。また、量子技術とAIイノベーションの協力を通じてUAEとサウジアラビアを米国・イスラエル軸にさらに統合することで、アブラハム合意を強化する位置づけにもある。 この地政学的イニシアチブは、イスラエルの専門知識を活用して、技術分野における米国の影響力を世界的に確保することを目指している。その範囲は、アブラハム合意の進展に応じて、アゼルバイジャン、カザフスタン、ウズベキスタンなどの中央アジア諸国、さらには長期的にクウェートとカタールにまで拡大される可能性がある。この提案を促進するため、イスラエルは中国に関する輸出・知的財産保護法を実施することが推奨されている。 2025年7月15日