カナダの量子コンピューティング企業Xanaduと三菱ケミカルは、量子コンピューティングを活用して新しい半導体チップ製造技術を進展させることに焦点を当てた共同プロジェクトを開始しました。この協力の主な目的は、極端紫外線(EUV)リソグラフィー内の量子プロセスをシミュレートするための新しい量子アルゴリズムを発見することです。EUVリソグラフィーは、ますます小型化・複雑化するマイクロチップの開発に不可欠なウェハーパターニング技術です。 EUVリソグラフィーは、集積回路の微細化を可能にするウェハーパターニング技術です。しかし、特徴サイズが小さくなるにつれて、オージェ崩壊などの量子効果がより顕著になり、複雑な電子相互作用により、リソグラフィープロセスのシミュレーションが複雑になります。量子コンピューティングは、量子システムと光物質相互作用のダイナミクスを直接シミュレートすることでこの制限に対処する方法を提供します。このパートナーシップにおいて、三菱ケミカルのマテリアルズデザイン研究所は、分子構造や反応性を含むEUVフォトレジスト材料に関する専門知識を提供し、Xanaduの量子アルゴリズムチームは、光物質相互作用と二次電子効果をモデル化するシミュレーションアルゴリズムを設計します。 このパートナーシップは、半導体材料分野における量子コンピューティングの具体的な応用を確立することを目指しています。半導体リソグラフィーに関連する光物質相互作用をシミュレートできる量子アルゴリズムの発見は、チップの微細化を進める一歩となります。この取り組みは、スマートフォン、スーパーコンピュータ、人工知能などの先端技術を支えるマイクロチップの開発に貢献し、量子科学技術における国際協力の一例となります。 2025年7月3日