EuroHPC共同事業体(EuroHPC JU)は、ポーランドのポズナンにてPIAST-Qの運用を開始しました。これはEuroHPCの量子コンピュータとして初めての実運用であり、またポーランドに設置される初のEuroHPCインフラとなります。PIAST-Qは、オーストリアのインスブルックに拠点を置くAQT社が供給したレーザーベースのイオントラップ型量子コンピュータで、ポーランドのPCSSがホストとして運用を行います。このシステムは20個の物理量子ビットの性能を提供し、契約上の期限より数ヶ月前倒しで納入・導入されました。 PIAST-Qは、計算エラーを最小限に抑える高忠実度の汎用量子ゲート、より深い回路を可能にする長いコヒーレンス時間、安定性と多量子ビット量子ゲートのプログラミングを向上させる全量子ビット間の接続性など、様々な特徴を備えて設計されています。このシステムは高性能計算(HPC)インフラと統合され、初期段階ではALTAIRスーパーコンピュータと、その後PIAST-AIスーパーコンピュータと結合され、欧州のユーザーにハイブリッド古典-量子アーキテクチャへのアクセスを提供します。このシステムは室温で動作するように設計されており、消費電力は2キロワット未満で、特別な冷却や大規模な電力インフラを必要としません。 この運用開始は、欧州の量子コンピューティングインフラ構築における重要な一歩であり、PIAST-Qは年末までに欧州のエンドユーザーに向けて、量子最適化、化学、材料科学、機械学習などのハイブリッド量子-古典的ユースケースのための計算リソースを提供する予定です。総調達費用1,228万ユーロ(1,437万米ドル)で共同出資されたこのプロジェクトは、中性原子、イオントラップ、超伝導回路、フォトニクス、断熱システムなど、様々な方式を含む8台の量子コンピュータを欧州全域に調達・配備するというより広範なEuroHPC JUイニシアチブの一部です。この戦略的な配備は、欧州のエンドユーザーに多様で補完的な量子コンピューティング方式のポートフォリオを提供し、量子技術分野における欧州の地位を確立することを目指しています。 2025年6月26日