IBMが日本のRIKENにQuantum System Twoを納入、スーパーコンピュータ「富岳」と統合へ

IBMと日本の国立研究機関である理化学研究所は、米国外で初めて設置されるIBM Quantum System Twoを発表しました。神戸に設置されたこのシステムは、世界最高性能のクラシカルシステムの一つである理化学研究所のスーパーコンピュータ「富岳」と共設置された初めての量子コンピュータです。この展開は、量子中心のスーパーコンピューティングにおける重要なマイルストーンであり、経済産業省の「量子・スーパーコンピュータ統合活用技術開発」プロジェクトの一環として、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の支援を受けています。 理化学研究所のIBM Quantum System TwoはIBMの156量子ビットIBM Quantum Heronプロセッサを搭載しており、その前身のIBM Quantum Eagleと比較して大幅な性能向上を示しています。Heronは2量子ビットエラー率3×10-3(最良値1×10-3)と250,000 CLOPS(Circuit Layer Operations Per Second)の速度を達成し、前世代と比較して品質と速度の両面で10倍の改善を実現しています。このシステムは理化学研究所計算科学研究センター(R-CCS)内で富岳と共設置され、高速ネットワークで基本命令レベルで接続されており、並列化されたワークロード、低遅延の古典-量子通信プロトコル、高度なコンパイル処理の開発を可能にしています。 この統合により、理化学研究所とIBMの研究者は量子中心のスーパーコンピューティングアプローチを進展させ、基礎化学などの複雑なアルゴリズムの研究を推進することができます。このシステムは、量子コンピュータが古典的な手法よりも効率的に問題を解決できる量子優位性を持つアルゴリズムの発見を加速するように設計されています。これには、強力な古典的インフラストラクチャと組み合わせることで、近期の量子コンピュータが科学的価値を提供できることを実証したサンプルベースの量子対角化(SQD)技術に関する研究も含まれます。この設置によりIBMのグローバルな量子コンピュータ群が拡大し、高性能コンピューティングにおける日本の役割が強化されます。 2025年6月23日