オックスフォード大学の研究者たちは、イオントラップ技術を用いた単一量子ビットゲートの忠実度において、わずか0.000015%(670万回の操作につき1回のエラーに相当)というエラー率の新たな基準を達成したと報告しました。この成果は「Physical Review Letters」に掲載予定で、同グループが2014年に達成した従来の記録から1桁の改善を示しています。この実験では、従来のレーザー制御ではなく、マイクロ波信号によって制御されたカルシウムイオンを使用し、動作の安定性の向上と統合の簡素化を実現しました。 このシステムは室温で、磁気シールドなしで動作し、イオントラップ・プラットフォームに通常必要とされる工学的なオーバーヘッドを削減しました。マイクロ波ベースの電子制御の使用は、コスト、堅牢性、拡張性の面で有利とされています。研究チームによると、この極めて低いエラー率により、量子エラー訂正に必要なオーバーヘッドが大幅に削減され、耐障害性を達成するために必要な物理的量子ビットの総数を減らすことができるとしています。 単一量子ビットゲートの忠実度は大きな進歩を示していますが、研究者たちは、完全な量子コンピューティングには、現在より高いエラー率を持つ二量子ビットゲート操作の同様の改善が必要であることを認めています。この実験は、英国量子コンピューティング・シミュレーション(QCS)ハブの下で、オックスフォード大学物理学部と大阪大学の共同研究チームによって実施されました。 2025年6月11日