EUの防衛協力の枠組みPESCOの下、フィンランドが量子技術の防衛プロジェクトを主導へ

フィンランドが、欧州連合の恒久的構造協力(PESCO)の下で、量子技術の軍事応用に焦点を当てた新たな主要防衛プロジェクトの調整役に選出されました。「戦略的優位のための量子イネーブラー」(QUEST)と題されたこのプロジェクトは、暗号解読、位置測定、監視、防空・ミサイル防衛などの分野における量子コンピューティング、センシング、計測の活用を目指します。 フィンランドが提案したQUESTは、新たに採択された11のPESCOプロジェクトの中で最も広い関心を集め、ドイツ、デンマーク、ラトビア、イタリアが参加し、スウェーデン、ギリシャ、オランダがオブザーバーとして参加しています。このイニシアチブは、フィンランドの確立された量子技術エコシステムと専門知識を活用し、フィンランド国防省とVTT技術研究センターが共同で管理します。 このプロジェクトは、現在防衛用途として最も実現可能と考えられている量子センサーや計測ツールなどの短期的な応用を優先しています。これらの技術は、GPSなどの従来の航法システムが機能しない環境で特に重要とされています。また、このイニシアチブは、特にロシアや中国による量子技術への投資増加に対する戦略的な対応としても位置付けられています。 QUESTは、技術主権の強化と加盟国間の軍事相互運用性の向上を目指すEUの広範な防衛戦略の一部です。75件のPESCOプロジェクトの一つとして、新たな安全保障上の課題に対して協調的イノベーションと共同開発を通じて取り組むヨーロッパのコミットメントを反映しています。また、欧州防衛技術産業基盤の強化にも貢献します。 完全な実施計画と予算の詳細はまだ公表されていませんが、フィンランド国防省は、防衛インフラへの量子システムの統合を可能にする上での本プロジェクトの長期的な役割を強調しています。EU当局者も、QUESTのようなプロジェクトが次世代戦争への準備と地域の防衛態勢強化に不可欠だと指摘しています。 2025年6月2日