量子応用に向けて原子運動の超もつれをCaltech研究者らが実証

カリフォルニア工科大学のマニュエル・エンドレス教授率いる研究チームが、原子の運動と内部エネルギー状態を同時に制御することで、中性原子のハイパーエンタングルメントを実証しました。これは原子のような質量を持つ粒子では初めての成果です。研究チームは光ピンセットを使ってアルカリ土類原子を冷却・捕捉し、能動的なエラー補正冷却を適用して原子の運動をほぼ停止させました。このプロセスにより、チームは原子を運動の重ね合わせ状態に励起し、量子情報を空間振動に符号化する基礎を築きました。 その後、原子は運動と電子の自由度の両方でエンタングルされ、2つの量子特性が同時に相関する形のハイパーエンタングルメントを達成しました。この画期的な成果により、原子あたりに符号化できる情報量が増加し、量子技術における実行可能で制御可能なリソースとして運動が導入されました。この技術は、既存の内部電子状態の操作能力に基づいて、中性原子に対する新しいレベルの制御を実現しています。 「光ピンセットにおける運動の消去冷却、制御、およびハイパーエンタングルメント」と題されたこの研究は、サイエンス誌に掲載され、陸軍研究局、NSF、DOE、DARPAを含む複数の米国機関から支援を受けました。エンドレス氏によると、この原子レベルの制御ツールボックスは、新しい量子コンピューティングアーキテクチャ、シミュレーション、高精度測定を可能にする可能性があるとのことです。 2025年5月23日