東京大学、IBMヘロン量子プロセッサを導入し、IBM Quantum System OneとMiyabiスーパーコンピュータを接続へ

東京大学(UTokyo)とIBMは、東京大学のIBM Quantum System Oneを156量子ビットのHeronプロセッシングユニット(QPU)にアップグレードする計画を発表し、システムの性能を大幅に向上させます。HeronのQPUは、可変カプラーアーキテクチャを特徴とし、以前のプロセッサと比較して、2量子ビットのエラー率が3~4倍改善され、1秒あたりの回路レイヤー演算(CLOPS)が60%向上した、より高い忠実度とコヒーレンスを実現します。これは東京大学のIBM Quantum System Oneの3回目のハードウェアアップグレードで、当初は27量子ビットのFalcon QPUから始まり、2023年には127量子ビットのEagle QPUにアップグレードされました。 並行して、東京大学はIBM Quantum System Oneを「みやび」スーパーコンピュータと統合し、ハイブリッド量子古典計算のワークロードをサポートする量子中心のスーパーコンピューティングプラットフォームを構築する計画です。みやびは、最先端共同HPC基盤施設(JCAHPC)を通じて東京大学と筑波大学が運営しています。この統合により、量子化学、バイオインフォマティクス、材料科学、高エネルギー物理学、金融など、幅広い分野での応用が期待され、ニューラルネットワークで推定される量子観測量などのシミュレーションの精度向上のため、量子・古典計算リソースを組み合わせて活用します。 この協力関係は、2019年に設立された日本-IBM量子パートナーシップの一環であり、量子イノベーションイニシアチブ(QII)コンソーシアムのメンバーにサービスを提供します。2020年に発足したこのコンソーシアムは、IBM Quantum System Oneを使用して140以上の研究論文を発表しています。日本の国内および地域の量子教育への取り組みにおける東京大学の役割には、韓国および米国との三大学コンソーシアムへの参加が含まれ、今後10年間で40,000人以上の学生の量子人材育成を目指しています。 2025年5月20日