欧州イノベーション評議会が資金提供したQCDCプロジェクト(「データセンター用量子コンピュータ」)が無事完了し、ヨーロッパでイオントラップ型量子コンピュータのクラウドベースコンピューティングサービスが確立されました。このサービスにより、欧州の研究者がAlpine Quantum Technologies (AQT)の装置を使用して高度な量子コンピューティングタスクを実行することが可能となり、医療や산業の発展を支援することを目的としています。 この新しいクラウドサービスにより、初期の概念実証が可能となりました。いくつかの研究チームは、生化学研究や計算流体力学の高度な計算のハードウェア実装を行いました。AQTとQC Ware、Covestro、Boehringer Ingelheimのチームによる共同研究では、NISQ(ノイズのある中規模量子)デバイスで可変量子固有値ソルバー(VQE)アルゴリズムを使用して、窒素サイクルにおける中間状態の相互作用エネルギーを計算しました。これらの初期実証により、研究者は複雑な分子間相互作用のシミュレーションや製造プロセスの最適化が可能になりました。 QCDCプロジェクトの成功完了とクラウドサービスの確立により、量子コンピューティングへのローカルアクセスを提供し、EU域外のプロバイダーへの依存を減らすことで、欧州の技術主権が強化されました。AQTの量子技術ディレクターであるJuris Ulmanisは、このプロジェクトが欧州全域の研究者にとって量子コンピューティングを実用的なツールにする一歩であると述べています。このプロジェクトにより、研究者は創薬、材料設計、持続可能性などの分野における課題に取り組むためのツールを手に入れました。 2025年8月29日