NTTリサーチと共同研究者らが初のプログラム可能な非線形フォトニクスチップを発表

NTTリサーチのPhysics and Informatics(PHI)研究所は、コーネル大学およびスタンフォード大学と共同で、1つのチップ上で複数の非線形光学機能を切り替えられる、世界初のプログラム可能な非線形フォトニック導波路を開発しました。Natureに掲載されたこの革新的な技術は、高速なデバイス再構成を可能にすることで、従来の「1デバイス1機能」のパラダイムを超えることを目指しています。 このデバイスのアーキテクチャは、再構成可能な2次元分布のχ(2)非線形性を持つ光学スラブ導波路を使用しています。このχ(2)非線形性は、光伝導層に構造化された光パターンを投影することで動的に誘起され、内部バイアス電界を制御します。この独自のプロセスにより、1つのデバイス上で任意の準位相整合(QPM)格子構造を調整することが可能になります。この技術により、製造時の不完全性や環境変動に対して機能を製造後に補正することが可能となり、大規模光回路の製造歩留まりの向上が期待されます。 この新しいデバイスを使用して、研究者らは第二高調波発生(SHG)のスペクトル的、空間的、および時空間スペクトル的な制御を実証することに成功しました。デバイスのプログラム可能性により、その場での逆設計の実行と、外部変動を補償するためのリアルタイムフィードバックの実装が可能になりました。これらの実証では、非線形性分布の2次元制御を完全に活用しています。 この進歩は、特に量子コンピューティングにおいて、高速な再構成が不可欠な分野への非線形光学の応用を拡大すると期待されています。この技術により、プログラム可能な光学量子ゲート、再構成可能な量子周波数変換器、およびプログラム可能なもつれ構造を持つ量子光源が実現可能となり、高度な計算およびネットワーク機能の進歩を加速することが期待されています。 2025年10月9日